年月ごと

「いきいきシニア地域貢献事業」で何を解決しようとしているのか?

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 横浜市では、高齢者がいきいきと生涯現役で活躍し続けられるようにと考え、施策として平成26年12月に「いきいきシニア地域貢献事業」を開始しました。

 この事業は、単に就職先を紹介することだけを目的としておらず、ボランティア活動等を含めて社会貢献・地域貢献をしながら生きがいを持って暮らしていくことを目的としており、市から委託を受けた公益財団法人横浜市シルバー人材センターが、金沢区に開設された「生きがい就労支援スポット」において、就労やボランティア、地域活動の相談や活動先の紹介をモデル事業として実施しているものです。

 モデル事業として試行錯誤をしながら取り組んでいる状況なので、色々と壁が見えてきたのではないかと思い、現状の課題を聞いてみました。主な課題としては、

・高齢者のニーズに合わせた活動先の確保が難しい

・高齢者の就労先の拡大が難しい

・ボランティアや社会参加活動へのマッチングがうまくいかない

とのことでした。

 地域活動に関する地元の声を聞くと「自治会や地域活動の担い手がなかなか見つからず、人集めが難しい」という現状の課題がある反面、「人間関係を煩わしく感じるので、あまり地域活動には踏み込みたくない」という声もあり、地域貢献のマッチングの難しさを感じています。

 また企業ベースで捉えた場合も、企業は人手不足の中、経験や実績を積んできた人材に活躍を期待したいが、現実は企業側の期待に応えられる高齢者が見つからないといった声もあります。

 現在、このモデル事業が直面している課題はまさに現状課題そのものであり、解決することで、地域課題や就労の解決にも結び付いていくと思います。そこで、課題解決に向けた今後の事業展開を聞いてみると、

・高齢者の社会参加セミナーなどによる啓発をしていきたい

・企業の高齢者雇用ニーズの開拓をしたい

・ボランティア活動などの実践例紹介していく

と何とも課題の本質を理解していない回答でした。先ほど申し上げた地域活動の担い手不足も、地域ごとの事情があり、単純に実例紹介で解決する話ではありません。また企業と高齢者の現状を把握しないことにはマッチングの課題は解決しません。今のままでは、何のための事業なのか分からなくなってしまいます。課題に対する解決策が見いだせていない印象を受けるので、再度、今後のモデル事業に対するビジョンを聞いてみました。

・短期的な課題(広報の強化、PRなど)

・長期的な課題(企業の高齢者雇用に対する意識の醸成など)

・モデル事業をしっかり検証をしながら全市展開に向け進めたい。

との回答でした。このモデル事業を進めるのは、行政側が現状分析をしっかりと行って、何が課題なのかを把握することからしなければなりません。そして、その解決策としてこの事業で何をすべきかを考える必要があります。私は少なくても今の状況のままで、このモデル事業の広報を強化しても、現状の課題の解決には結びつかないと思います。先ずは、行政の意識改革、組織改革からしていかないと真の市民サービスへと繋がっていかない気がします。

福岡市の高齢者住まい・生活支援を学ぶ!

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お題目から少しズレますが、先ずは福岡市の住居の状況について記します。

平成25年の住宅・土地統計調査によると福岡市の住宅総数は85万4千戸。空き家は10万5千戸(12.2%)。

特徴としては共同住宅率が77.6%(全国平均42.4%)とめっちゃ高いのです。

そして借家率も61.0%(全国平均35.5%)と高く、

単身世帯率は47.7%(全国平均32.4%)とこれも高い。

なのにバリアフリー化率は45.1%(全国平均50.9%)とあまり高くない状況です。

これは企業の転勤者の入れ替わりが激しいということなのでしょうかね?

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ここで話を戻して高齢者の住まいについてですが、福岡市の入居制限に関する事業者アンケートによると、入居希望者に対してお断りする場合があるとの回答は年々増加し81.6%となっています。

入居をお断りする場合の世帯に関しては、高齢者だけで住む世帯(単身者、夫婦世帯)が26.2%と以外に多く、連帯保証人等の確保が困難な高齢者の入居は断ると回答した事業者は77.4%となっています。

そして連帯保証人がいない高齢者の入居を断る理由について金銭的な保証及び緊急時の連絡先が共に得られないためが67.1%と一番多い理由です。

そこで福岡市ではこの課題を解決すれば高齢者が安心して住まいの確保が出来ると考えモデル事業を始めました。

福岡市のスキームは、社会福祉協議会が主体となり、家賃債務保証セクターや専門相談、緊急時対応、権利擁護、見守り、死後事務委任、家財処分、寺院・霊園、葬儀社、生活支援サービス、コーディネート等のフラットフォームを活用して入居困難高齢者と不動産会社の協力店との間に入り繋ぐといったものです。

この事業の最大の課題は財源。基本的にはサービスを受ける費用は利用者負担ではありますが、この事業を運営する運営費は福岡市の補助で賄っています。今後は事業手法の確立を目指し、障がい者世帯や外国人世帯、子育て世帯へと対象者を拡大していく予定です。

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それでは横浜市の場合はと言うと、民間住宅あんしん入居事業という同様の事業を平成16年からやっており、高齢者の入居拒否といった実態はあまり無いとのことで、この事業のスキームの中で保証会社が柔軟に対応をしており、保証料も2年間の契約で家賃の30%で、

・24ヶ月を限度額とした未払い賃料の代位弁済

・残置家財等の撤去費用についての代位弁済

・原状回復費の代位弁済

・家賃滞納による明渡し訴訟等に要する費用についての代位弁済

を賄っています。

そしてこの事業の対象者は世帯主が60歳以上の世帯だけではなく、障がい者世帯、外国人世帯、ひとり親世帯、特定疾患者世帯、DV被害者、児童福祉施設出身者、ホームレス自立支援センター退所者、子育て世帯と対象者も幅広く、あんしん入居事業としては十分対応しているように思えます。

しかしながら実態を見ると、成約件数のピークが平成18年度の405件で、そのうち344件は生活保護受給者で、高齢者の成約は24件でしたが、平成26年度には成約件数は30件で、その内、生活保護受給者の成約が24件で、高齢者の成約は4件でした。

生活保護受給者については保護費の中に保証費が含まれているか否かの過去の経緯に大きく影響を受けているように感じますが、

高齢者の成約自体は、全体的に多くはなく、ニーズが無いのか?事業自体が利用しにくいのか?事業の存在を知られていないのか?更なる調査研究が必要と考えています。

何れにしても地域ごとに状況や条件は異なり、課題解決に向けた対応策は異なることを十分理解した上で他都市の事例を参考にしていくことが重要です。

大牟田市の空き家の活用を学ぶ!

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空き家の活用と地域包括ケアシステムについて他都市の事例を学んできました。今回、伺ったのは九州の中部に位置する大牟田市。先ずは大牟田市ってどんなところなのかを少し記します。

西は有明海に面し福岡県の自治体では5番目に人口が多い街です。かつては三井三池炭鉱の石炭資源を背景とした石炭化学工業で栄え、1960年(昭和35年)には最大人口21万人を誇りましたが現在の人口は12万人を下回っています。

エネルギー革命などにより石炭化学工業が衰退し、同炭鉱が1997年(平成9年)3月に閉山しました。その後は廃棄物固形燃料(RDF)発電施設を中心とした環境リサイクル産業などの新興産業(エコタウン)や、立地条件を生かした大牟田テクノパーク(工業団地)への企業誘致などに力を入れています。

全国的にも炭鉱の町は衰退とともに産業シフトを行ってきましたが、シフトしきれずに財政破たんし有名になったのが夕張市です。ここ大牟田市に関しては、比較的他の産業基盤が整っていたため、産業シフトをすることが出来たものの、地方都市が抱える人口減少や都市部への人口流出、高齢化といった喫緊の課題があります。

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そのような背景を持つ大牟田市では、空き家が急増すると共に、高齢者、障がい者、低所得者、離職者なども増加傾向にあり、住宅確保要配慮者が生活の基盤となる住宅を円滑に確保できていない問題も発生しています。

そこで大牟田市では住宅と福祉の連携が必要と考え、空き家を活用した地域包括ケアと住まいを繋ぐ取り組みを行っています。

平成25年の住宅・土地統計調査によると、国内の総住宅数は6063万戸で空き家数は820万戸(13.5%)となっています。大牟田市の場合の空き家数は約1万戸(16.2%)で全国平均よりも多い状況です。ちなみに横浜市はと言うと、空き家数は1万7800戸(10.1%)です。

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話は戻して、大牟田市では空き家の活用を模索するためにこの約1万戸の空き家の調査を行いました。

1次調査ではマンションなどの集合住宅を除く全ての戸建て住宅を対象に外観による空き家の実態調査を民生委員に依頼しました。

民生委員の皆さんは地域に精通した方ばかりなので、確かにどこの家が引っ越したとかよく知っているハズです。しかし普段からたくさんの役割の担って頂いている民生委員さんに依頼できたってところが凄いです。

民生委員さんの協力を頂いた結果、3千戸の実質空き家が存在することが分かりました。

次にこの3千戸を対象に老朽度等の2次調査が行われました。しかもその調査を行ったのは地元の高専の建築学科の生徒さん達でした。ちなみに調査費は60万円だったそうです。

2次調査ではA(そのまま使用が可能な状態)、B(若干修繕が必要と思われる)、C(使用するにはかなりの修繕費がかかる)、D(損傷が著しく倒壊などの危険がある)の4ランクに分類しました。そのうちに実質使用が出来そうなA・Bランクの空き家が約1000戸あることが分かりました。

しかし空き家情報や所有者に関しては個人情報であり、行政から空き家所有者への接触は難しい状況です。そこで活用可能な空き家のエリアを中心に戦略的に「空き家所有者向け無料相談会」を開催しました。

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その中で相談に訪れた空き家の所有者が地域のために活用して欲しいとの意向でモデルプロジェクトを立ち上げ、実現したのが「サロン田崎」です。

ここでは、地域の方々が集い、音楽の演奏会を行ったり、料理教室を行ったりと活用されています。

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現在、全国的に「空き家」が原因で様々な問題が発生していることから、その対策に取り組む必要性を踏まえて「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、横浜市では宅建協会や弁護士会等と連携して空き家に関する相談窓口を設置しています。

一般的な流通や賃貸だけではなく、大牟田市のように空き家を地域で活用する仕組みについても構築していく必要があると考えています。

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横浜市の特別養護老人ホームの整備

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横浜市の特別養護老人ホームは 現在、年間300人程度の施設整備を進めています。 入所の必要性・緊急性の高い申込者が 概ね1年以内に入所できる水準を維持しようとしています。 「入所の必要性・緊急性の高い申込者」とは、 1.要介護3以上 2.1年以内に入所が必要 3.ひとり暮らしか若しくは介護者が高齢又は病気であったり就労等のため十分な介護ができない という条件を満たした高齢者を想定しています。 平成26年度末の計画数は14507人で 144カ所の施設数の予定です。 平成26年4月1日現在、 横浜市内の入所待ち数は5290人(在宅)で、 鶴見区内の入所待ち数は、 要介護1:30人 要介護2:97人 要介護3:105人 要介護4:116人 要介護5:76人 計424人となっています。 鶴見区の高齢者施設一覧